コスト削減は言われるまでもなく、どこの企業でも日々行っていることでしょう。経費などの無駄をチェックし、必要に応じてコストの改善や圧縮に取り組んでいることでしょう。ただコスト削減をしたはずなのに、思うようにいかないこともあります。やり方を間違えると一時的な効果しか出ませんから、コストダウンよりもコストリダクションという考えで削減を行っていくべきです。
コストリダクションとは
コストリダクションとは、Costとreductionを合わせた言葉であり、コストを縮小・削減するという意味を持ちます。
コストリダクションの方法はいくつもあり、仕入れ先を見直して安いところにする、作業効率や生産方法を見直す、廃棄ロスを減らす、在庫管理の方法を見直す、消耗品などの使い方を見直すなどです。
主に生産や管理での無駄がないかを見直し、改善し費用の削減や節約に繋げることをいい、会社に影響を出にくくして、コスト削減を行う方法です。
コストダウンとの違い
コスト削減を意味する言葉として、コストダウンがありますが、これは和製英語であり、英語ではありません。そしてコストダウンというと、リストラやボーナスカットなど、社員に直接影響のあるようなコスト削減も含まれます。
しかしこれに対し、コストリダクションは先にも記載したとおり、無駄を見直し、改善や節約を行い、コスト削減をすることを意味します。
昔はコストダウンという言葉は使われていましたが、最近ではコストカットやコストセイビングという英語に準じた言葉が使われるようになり、誤解無く意味を伝えるなら、コスト削減と書く場合が多いです。そのコスト削減の1つがコストリダクションなのです。
コストコントロールとは
コストに関する言葉としては、コストコントロールもあります。これは、日本語では原価管理と言い実際の原価を標準原価に近づけることを意味します。
通常は品質を上げればコストも上がり、コストを下げると品質が下がるというのが常識です。しかし品質を維持または上げて、コストを下げるのがコストコントロールになり、経費などを正しく把握して、利益を追求することにも繋がります。
一例を挙げると、製品の組み立てをベルトコンベア式にして効率を上げコストを下げる、
大量生産してコストを下げ製品の値段を下げる、などのことがあります。品質を維持したり上げたりするためには、そのコストの無駄や有害部分を把握し削除し軽減しないとなりません。
標準原価と実際原価
原価管理の手法は、会社によって様々ですが、大別すると標準原価と実際原価に分けられます。
実際原価
実際原価は、製品の製造のために実際に要する原価であるため、真の原価であると言えます。
標準原価
製品の実際原価を求めるときは、実は価格や能率や操業度、その他原価に及ぼす要素が含まれており、それは一概に数値として出すことが出来ません。たとえば材料の価格にしても常に一定とは限りません。
実際原価を計算する時は、すべての費用の項目が判明していないと、計算が出来ないという欠点があります。そこで、これらを解決するために、統計や科学的方法を用いて、製品の生産に必要なコストを、あらかじめ単一で算出しておき、この単価に実際生産量をかけて、製造原価を求めるのが、標準原価となります。
標準原価は、実際原価と違い、すべての生産原価の数値が判明していなくても、単一の数値を用いれば算出出来るので、原価を算出するときに役に立ちます。
原価を考えるときは、コストリダクションとコストコントロールはとても重要になってきます。
コストリダクション
まずコストリダクションですが、企画設計段階からコスト削減の仕組みに取り組みます。
製品のスペックや原材料などを見直し、設計からすべてを改善して、徹底してコスト削減を行います。多くの企業では原価企画という段階から行うことが多く、目標利益を差し引いた許容原価を設定します。
許容原価は厳しい水準で設定することが多く、この許容原価に原価を近づけて達成するようにするために、会社として取り組んでいくのです。
コストコントロール
原価を管理することを意味し、許容原価が達成できそうであれば、自然と標準原価も設定できます。品質を保ちながら、設備や社員を効率よく管理して無駄をなくしてきます。この管理のことをコストコントロールと言います。
会社ではコストリダクションとコストコントロールの効果を比べると、前者が8割であり、後者が2割であると言われていますので、その範囲でのコスト削減効果が出ると考えて良いでしょう。
コストリダクションとコストダウンの違いをご紹介しました。無駄をなくすことや効率を改善することがコストリダクションであり、最近の企業はコストダウンよりも重視して行う傾向にあります。ただコスト削減を考える場合は、製品の原価を考えないといけませんので、原価を算出しながら行っていく必要があります。