イニシャルコストとランニングコストには、どのような意味の違いがあるのでしょうか。
イニシャルコストとランニングコストの違いについて解説していきたいと思います。
イニシャルコストとは
イニシャルコストという言葉は、新しく事業を開始する場合における備品、車両などといったものを導入してから実際に稼働するまでの間に必要となる費用のことです。運送業であればトラックやその導入費、オフィスにおいてはコピー機などの購入に必要な、初期費用の事だと考えて問題ありません。
運送業の場合には、アルミ板やトレーラーなどを購入しますが、この場合の費用がイニシャルコストです。また建設業関係の方は、ダンプや平ボディーといったものがイニシャルコストになります。
新しく導入する機材や設計費用、運搬費用や工事の代金といったものは様々なものがイニシャルコストとして分類されます。イニシャルコストを抑えることは、企業の立ち上げにおいて重要になります。
できるだけイニシャルコストを抑えることで、黒字になりやすくなるからです。
ランニングコストとは
ランニングコストは、その言葉自体には維持費用という意味があります。企業が、備品や設備といったものを維持する上で必要不可欠になるコストです。このランニングコストは絶対に発生するものです。
設備を導入して稼働されるようになってから、その導入したものが廃止されるまでの間にかかるコストです。例えば、トラックを運転する場合には、必要となる燃料やエンジンオイルなどの費用、そして車検代といったものもランニングコストに分類されます。
自動車税や自動車重量税、タイヤ費用といった消耗品に関してもランニングコストの一部です。燃料費はランニングコストの1つとして、イメージしやすいと思いますが、税金はランニングコストに分類されないと思われるかもしれません。
しかし、税金や車検費用もランニングコストに分類されます。イニシャルコストとランニングコストをまとめてトータルコストやライフサイクルコストと呼ぶこともあります。
オフィスにおいてはコピー機を購入して、使用するための電気代、インク代、修理代などがランニングコストに分類されます。
それぞれの違い
イニシャルコスト、ランニングコストの違いは、プリンターを例に出すととてもわかりやすくなります。
イニシャルコストがプリンターを購入する場合にかかる費用です。プリンターを使うためにはプリンターそのものはもちろん、最初に使用するまでのインク代や電気代も必要になりますが、初期の段階ならイニシャルコストになります。
使用していく中で交換したインク代金、電気代、修理費用といったものがランニングコストになります。プリンターを通常通り使用していくうえでかかる費用が、ランニングコストだと考えてよいでしょう。
そう考えると、インク代や電気代などプリンターを使用するうえで必要不可欠な費用は、できるだけ抑えられる方が良いのです。
損益分岐点との関係
イニシャルコストは、機器や設備などを導入する場合にかかる費用のことであると前述しました。そして設置が導入後にかかる費用を、ランニングコストといいます。
イニシャルコストは固定費に分類されます。そしてランニングコストは、変動費に分類されることになります。
イニシャルコストは、損益分岐点を計算するうえで固定費に分類されます。この固定費は損益分岐点を決めるうえで重要な要素となります。イニシャルコストを含めずに、損益分岐点を算出しようとすると、正確な利益を計上することができずに、いつまでも赤字という状態になります。
イニシャルコストを含めたうえで損益分岐点を計算しなければ、正しく利益を出す方法、正しい損益分岐点を算出することはもちろん不可能なのです。経営において黒字と赤字とを正確に把握できているかどうか、というのは極めて重要なことなのです。
トータルコストを考える重要性
イニシャルコストやランニングコストは、会社の経営にとても重要になる、ということは分かっていただけたと思います。仮にイニシャルコストを大幅に抑えることができたとしても、ランニングコストがかかってしまえば結局意味がありません。
またイニシャルコストを抑えることができなくても、ランニングコストを抑えることができればトータルコストは抑えることができるのです。どれだけ最初に高額なトナーを使用して、すばらしいクオリティを実現できたとしても、そのトナーを長期間使い続けたときにどうなるのか、ということを考えなければなりません。
長期間使用するうえでランニングコストが大幅にかかるのであれば、それは会社の経営において負担となってしまいます。そういったことを考えると、できるだけランニングコストを抑えることはもちろん、なおかつイニシャルコストもできるだけ抑えることが重要です。
イニシャルコストとランニングコストには、深い関係性があります。イニシャルコストとランニングコストをどのくらい抑えることができるのか、これが会社の経営にはとても重要になります。