会社のコスト削減というと、真っ先に行われるのはリストラや給与削減などの人件費削減です。人件費は会社のコストの中でも割合が多く、それ故に削減しやすい部分とも言えます。ただ人件費削減は安易に行うと、会社にデメリットももたらしますので、よく考えて行うべきです。
人件費を削減する方法
人件費を削減する方法はいくつかあり、以下のようなものがあります。
- 基本給を下げる
- ボーナスカット
- リストラ
- 手当ての廃止
このような方法があり、社会保険料などの福利厚生費用も人件費として削減することも可能です。ただしどれを行うにしても、会社の一存で一方的に行うのは難しいです。リストラであれば自己都合でなく会社都合になれば、リストラするだけの理由が必要になります。手当て廃止や基本給を下げることも、こちらも正当な理由が必要です。またボーナスカットも雇用契約に、いつ何ヶ月分支給すると記載があるなら、それに従わねばならず、カットするにも理由が必要です。
人件費を削減することは、短期的にコスト削減して効果を出したいときに有効であり、長期的な視点で見ると、新しい社員の雇用など、次のコストを生む結果になるかもしれません。他のコスト削減よりも難しく慎重を要する部分であり、アフターフォローも必要な対策と言えます。十分に検討してから人件費削減に踏み切るべきです。
人件費削減を考えていくなら、コスト削減ばかりでなく、顧客満足・従業員満足、そして企業満足という3つの視点で考えて、なにをすべきか決めることです。
人件費削減によって得られる効果
人件費を削減すると、それだけ会社のコストが削減されます。
- 人件費を減らすことが出来、毎月の固定費を少なくできる。
- 減った人員分の、毎月の光熱費や設備費などを圧縮できる。
- 社員のモチベーションを上げることも可能。
このような効果があります。固定費や光熱費の削減は人件費削減で得られる効果としてわかりやすいでしょう。また同時に給与に見合った仕事をしない社員、問題を抱えている社員などをリストラすれば、周囲の社員のモチベーションがあがり、仕事の効率が上がる結果になるかもしれません。
人件費削減によって生じるデメリット
人件費削減は会社のコスト削減としては、一番手っ取り早く効果的ですが、安易に行うと、社員への悪影響が生まれます。
社員の士気が下がる
リストラを行うと、会社に対する不満などが出ることもあり、社員の士気を下げることもあります。ボーナスカットや基本給カットは、言うまでもなく、社員の士気を下げる原因となります。士気が下がるばかりでなく、待遇が悪いと、良い待遇の会社へ転職していく社員が出てくるかもしれません。
会社の評判が下がる
リストラにしても、ボーナスカットなどにしても、社員にわだかまりなく行うというのはなかなか難しいものです。今は個人でも簡単に世界に向けて情報を発信できる時代なので、自社の不満を綴ることもあるでしょう。
場合によっては具体的に社名を出して、不満やリストラされたことを書くと、それが会社への悪評として広がる恐れもあります。また会社の社員への待遇自体を悪くすると、その情報も広がり、入社したいという人材を減らす結果になるかもしれません。
一人当たりの負担が増える
リストラして社員を減らせば、それだけ残された社員への仕事の負担は増えます。負担が増えれば、社員への疲労も溜まり、残業も多くなるかもしれません。場合によっては社員の残業が増えて、リストラで削減できたコスト以上の残業代が発生するかもしれません。
人材の流失(リストラの場合と、減給に不満な退職者が出る場合)
リストラを行う場合は、派遣社員やバイトなどの非正規を対象とするか、または給料を多くもらっている壮年の社員が対象となる場合があり、多くは壮年社員が対象となります。やはりリストラをするなら、出来るだけ多くの社員を削減するか、出来るだけ多くの給料をもらっている社員を削減するということを考えます。
つまりは、長く会社におり給料アップして手取りの多い社員ほど、リストラの対象となりやすく、そのような社員は会社のノウハウを持っていること多く、人材の流出に繋がります。そして若年層の社員の成長に影響を与えるということになるのです。
減給やボーナスカットをする場合は、先にも記載したとおり、会社の待遇に不満を持ち、優秀な人物や能力のある人物が、退職して他の会社へ行くという結果を招くかもしれません。
人件費削減は、コスト削減として効果の出やすい方法ですが、同時に会社への悪影響も出やすい方法です。会社の効率化を図り消耗品や電気代や残業代を減らす方が、効率的にコスト削減でき、会社への悪影響も少ないです。新しい機器やシステムで社員の手間を省く、クラウドを活用する、残業しにくい環境を作るなど、人件費以外でのコスト削減を考えてみてはいかがでしょうか?