業務上の効率アップは、生産性を高めるだけでなく、従業員の意識の改革や新たな施策への発送など数々のメリットを生みだします。業務上の効率を高める上で注目されているのが、ムダ・ムリ・ムラという考え方です。このムダ・ムリ・ムラという考え方の要点をつかむことでよりよい効率アップのために業務を見直すことが可能となるでしょう。
ムダ・ムリ・ムラの考え方とは?
ムダ・ムリ・ムラとはどのような考え方なのでしょうか。ひとつずつ理解していきましょう。
ムダ
まずは「ムダ」という要素です。ムダとは言い換えるなら生産性を悪くする事柄全般のことを指します。業務というものは生産性に直結するものだけでなく、ムダな仕事やムダな動きというものが混入しがちです。ですから、何がムダな動きになっているのかをまずは探し出す必要があります。ムダな動きとして代表的なものが、作業場所が集約されていないことによる「歩くムダ」、また整理整頓がされておらず業務の前に道具をそろえるための時間を要する「探すムダ」、また作業基準が不明瞭で業務上迷うことが多くその都度手が止まってしまう「迷うムダ」、不必要な書類の記入が多く、事務上の手続きに追われて生産性が落ちてしまう「記入するムダ」などが挙げられます。さらに、従業員の仕事に対する意識として自分の事だけを考えて全く協力の精神がないことも、「協力しないムダ」として挙げることができます。さらには、適切な生産量を把握していないことによる「作り過ぎのムダ」や、品質保証のための十分な教育や生産システムが構築されていないことによる「不良のムダ」も考える要素となります。
ムリ
次に「ムリ」とは何でしょうか。それは、能力以上の使い方をしてかえって作業効率を落としてしまうことです。要するに、負担をかけすぎて本来のパフォーマンスが発揮されない状態のことを指します。それは人に対しても当てはまりますし、機械に対しても当てはまります。また、生産計画の目標が実情とあっていないために生じる計画上のムリという場合にも当てはまるでしょう。こうしたムリをすぐに改善するために動くことで、徐々に生産性を落としてしまう危険に対処することができるでしょう。
ムラ
最後に「ムラ」とは何でしょうか。それは、仕事の品質が一定ではないという状態のことです。仕事配分が偏っていたり、生産数量が一定に保たれずにその場しのぎの生産になっていたりすることなどが挙げられます。作業場ムラが生じてしまうと、品質も生産性も安定しない状態になってしまいます。こうした事柄をきちんと見直すことによって企業としての力は今よりもずっと強くなる可能性があるのです。
トヨタにおけるムダ・ムリ・ムラ
ムダ・ムリ・ムラの概念を取り入れ、業績の改善を果たした代表的ともいえる企業がトヨタです。トヨタは徹底的な計画を立てることにより、必要なものを必要な時に必要な分だけ生産することを可能にしました。つまり、ムダ・ムリ・ムラを極端になくすことに成功したのです。その具体的な方策として、スーパーマーケット方式と呼ばれる制度の導入があります。この方式ではスーパーマーケットの看板のように生産管理の道具として必要な事項を記入し、引継ぎの際にはスムーズに内容が伝達されるように工夫されました。この方式によって何がどの程度顧客のニーズとなって売られていて、何をどの程度生産することが必要なのかを容易に把握することが可能となりました。まさに、ムダ・ムリ・ムラをなくす上で重要な役目を果たしているのです。
ムダ・ムリ・ムラをなくす手順
ムダ・ムリ・ムラをなくすには、まずは何がムダ・ムリ・ムラとなってしまっているのかその原因を洗い出すことが不可欠です。
ムダ・ムリ・ムラを洗い出す
業務上効率が悪いと感じる点や、関係者が意思疎通をしっかりと行い話し合うことでおのずとムダ・ムリ・ムラを構成している要素を見つけることができるようになるでしょう。
ムダ・ムリ・ムラを整理する
ある程度の問題が露呈したら、いったんそれを整理してみます。さらに細かく具体的に細かな問題点を探し出し、細かいタスクにわけると良いでしょう。
優先順位をつける
大まかな問題点と、それを分析した細かいタスクが表れたら、重要と思えるものに優先順位をつけていきましょう。一度にすべての問題点を解決しようとすると、それ自体がオーバーワークになってしまい、ふさわしい状態での改善が図れなくなる可能性があります。一番早急に改善を図るべきことは何かを整理して、まずはその部分に注意を集中して改善にあたりましょう。大きな枠組みとして構造に問題がある場合はもちろんのこと、個人レベルでの些細な事柄でも、それが全体として大きな問題の原因になっている場合もあります。
このような手順でムダ・ムリ・ムラをなくしていくことが業務内容の効率化に大きな効果を発揮します。その改善方法も実は簡単な工夫から始まります。まずはよく業務内容や方法を見直すことで問題を明確にすることから始めましょう。