プリンターに裏紙を使っている方は多くいるかもしれませんが、それによって生じるデメリットを理解しているでしょうか? 裏紙の使用は、一見、コピー用紙のコスト削減のように思えますが、かえってプリンターの寿命を早めてしまったり、故障を起こして修理代が高くついたりします。それどころか、情報漏洩の原因になるなど会社にとって多大な損失となる可能性もあるのです。
複合機・プリンターのコスト削減の前に考えてみてください。印刷機器や印刷物のセキュリティ対策がいかに重要なのかについてお話します。
セキュリティ対策の重要性
印刷機器や印刷物のセキュリティ対策を何も施さなかった場合、様々なトラブルが起きる可能性があります。そのトラブルとは、主に情報漏洩です。
漏洩によりトラブルが起きうる情報とは何でしょうか。まずは自社の機密情報が挙げられます。これが漏洩するということは、企業の競争力を失うことにつながります。まだ外部に発表していないような商品の案や製造ノウハウなどが盗まれてしまうかもしれません。特許を先願されてしまっては、自社が考えたはずのものがコピー商品扱いされてしまいます。
他にも、クライアント情報が挙げられます。万が一クライアントの個人情報が流失してしまうようなことがあれば、企業のブランドイメージは大きく低下し、進んでいた商談も中止となってしまうことでしょう。一時的な影響だけにおよばず、顧客離れが深刻化していき、経営自体が困難になってしまうことさえあります。場合によっては、裁判に発展し、賠償金を支払わなければならないこともあるでしょう。
個人情報が流出するリスクは何としてでもなくすべきだと考えられます。
複合機やプリンターで起こりうる情報漏洩
情報漏洩は様々なケースにより発生します。可能性、リスクともに高いといわれているケースをいくつか挙げていきましょう。
印刷物の流出
複合機やプリンターのトレイに印刷物をそのまま放置しておいた場合、または印刷物を社外に持ち出し、紛失した場合などに起こり得ます。
ネットワークからの侵入
外部からの侵入は、なにもパソコンやサーバーに限られた話ではありません。ネットワークに接続されている複合機やプリンターにもその危険は潜んでいます。
ハードディスクからの流出
複合機やプリンターには、アドレスや電話番号等のデータを保存するためのハードドライブが搭載されています。複合機やプリンターを、廃棄する際などにハードディスクをそのままにしておくと、そのデータが盗まれる可能性があります。
ファックスの誤送信
本来送信するはずの相手ではない相手にファックスを送信してしまう誤送信。うっかりミスでは済まされない場合があります。
これらのケースにより情報漏洩が起こってしまうと、悪意を持った第三者が印刷物に書かれた機密情報や個人情報を盗み見る可能性があります。また、その情報を故意に流出させる可能性もあります。
複合機・プリンターに施すべきセキュリティ対策
情報漏洩の危険性が大いにある複合機・プリンター。これらに施すべきセキュリティ対策についていくつか挙げていきます。
印刷のログをとる
誰がどんな書類を何枚印刷したか、これを記録として残しておくことで、不正な印刷を確認することができます。万が一トラブルが起きた際にも、原因の当たりをつけやすくなります。
書類にスタンプ
重要な書類には、「社外秘」など機密情報であることが分かる記述をしておくこと。これにより、内部からの持ち出しを防ぐことができます。
印刷物の放置を禁止
関係者以外の目に触れることを防ぐため、どんな印刷物であっても、基本的に印刷物を放置することを禁止します。コピーや出力した後は、すぐに操作を行った本人が取りに来ること、不要な印刷物はシュレッダーにかけるなどします。
データの暗号化
機内に蓄積されているデータ(アドレス帳、文章データ)を、記録時点で暗号化すること。これにより、万が一ハードディスクの盗難が起こっても、情報漏洩は防げます。
定期的なデータの消去
ハードディスク内に蓄積されているデータ(一時データや任意保存のデータ)は、定期的に消去すること。これにより情報漏洩のリスクは抑えられます。
短縮ダイヤルの使用
ファックスを使用する場合、短縮ダイヤルを使用すること。これにより、社内で登録した番号以外への誤送信を防ぐことができます。
セキュリティ対策も「コスト削減」
今回挙げたセキュリティ対策を実施するには、ある程度の時間や人材が必要となります。しかし、それにかかるコストを削減するためにセキュリティ対策への投資を怠ってしまうことは企業にとって有益とはいえません。
情報漏洩により、謝罪に当たる広告費用、対応窓口の人件費など余計なコストがかかることさえあります。さらに、売り上げの減少や株価の低下が引き起これば、当然企業の経営が苦しくなります。
繰り返しにはなりますが、複合機・プリンターのコストを削減する前に考えてみてください。セキュリティ対策は企業の経営を維持していくためには必須です。情報化社会の今、顧客は信頼度の高い企業を求めています。それを肝に銘じておきましょう。